台湾の治安維持法
治安維持法の歴史Ⅴ
2023年5月刊行!
荻野富士夫著
植民地化に抵抗する台湾の人々を
時に死をもって徹底的に弾圧した「法の暴力」
小林多喜二や反体制の運動家たち多数の犠牲を出し、 言論と信条、信仰を封殺した治安維持法。 それでも国内では事例のない死刑判決が、 植民地台湾と朝鮮ではくだされ、執行されていた。 治安維持法が実効するより早く、合法的に徹底弾圧し 大量の犠牲者を出した一九世紀末の「匪徒刑罰令」。 匪徒刑罰令から治安維持法の運用そして日本の敗戦まで、 台湾で繰り広げられた言論と行動への弾圧の様相を 明らかにする。
目次
はじめに
Ⅰ 匪徒刑罰令の猛威 ——一八九〇年代〜一九一〇年代
一 匪徒刑罰令の制定と運用
二 一九一〇年前後の「匪徒事件」の司法処断
Ⅱ 治安維持法の運用開始——一九二〇年代
一 治安警察法の施行
二 治安維持法の施行
三 治安維持法の初期の運用
四 治安維持法以外の治安法令活用
五 抑圧取締機構の確立
Ⅲ 治安維持法運用の全開——一九三〇〜三七年代
一 全開期の概観
二 共産主義運動への発動
三 民俗独立運動への適用
四 治安維持法以外の法令活用
五 抑圧取締機構の拡充
Ⅳ 戦時体制下の治安維持法 ——一九三八〜四五年
一 戦時下の治安厳重化
二 新治安維持法による民族独立運動への追撃