戦後教育史をひらく

2024年11月刊行!

これまで多岐にわたる教育分野で先行して取り組み、
明らかにしてきた戦中・戦後のさまざまな教育事象を、
「戦後教育史」という通貫する流れに収斂し、さらなる展望を示す……。
日本教育史の新たな地平を切りひらこうとする
米田俊彦と新進気鋭の研究者らが、
子どもと生活、ジェンダー、教育改革、文化の視点から
戦後教育史をひらく最新論文集

米田俊彦・鳥居和代・齋藤慶子・大多和雅絵・松島のり子 編著

A5判・上製・368ページ
定価4,000円+税(税込4.400円)
ISBN978-4-86617-250-7

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「戦後教育史をひらく」とはどういうことか。筆者が大学院生であった一九八〇年代には、占領軍文書の公開を機に戦後教育改革の研究がさかんになったものの、それ以降の時期についての教育史研究者による教育史研究はほとんど進まなかったと言ってよい。…………
ところが、二〇一八年に刊行された教育史学会他編『教育史研究の最前線Ⅱ』(六花出版)は、全一〇章のうちの一つの章を「戦後日本教育史」としている(筆者が執筆を担当)。二〇一〇年代に入って、ようやく「戦後」が一つの時期区分として、日本教育史研究のなかで形をなしてきたのである。…………
教育史研究は、歴史研究として、その時代の総体(全体的な動向)との関係で、あるいは、前後の時期との関係で対象を位置づけることが求められるので、すでに他の専門領域によって明らかにされた知見を、補ったり組み換えたり整理し直したりすることも必要になることが予想される。そういった作業の見通しの上に立って、これから時間をかけて戦後教育史研究を開拓していくというメッセージを込めて、本書は「戦後教育史をひらく」というタイトルを掲げることにした。これをもって「ひらいた」のではなく、これから「ひらいていく」という意味として受けとめていただけたら幸いである。
——「まえがき」米田俊彦 より

著者略歴

まえがき 米田 俊彦/お茶の水女子大学名誉教授

序章    戦後教育史覚え書き  米田俊彦

第Ⅰ部   子どもの生活と教育の接点を問う——学校行事、算数教育、保育・幼児教育

第一章  建国祭における児童の役割と学校教育への影響に関する一考察
橋本 萌/信州大学教職支援センター助教

第二章        第四期国定算術教科書『尋常小学算術』と「生活算術」
桜井 恵子/元小田原短期大学保育学科通信教育課程教授

第三章          一九六三年「幼稚園と保育所との関係について(通知)」と保育者養成
——『保母養成講座』改訂にみる「保育所保育指針」の影響
松島 のり子/お茶の水女子大学基幹研究院人間科学系講師

第Ⅱ部       ジェンダーの視点から教育を捉える ―母親教育、女性教員組織、家庭科教育

第四章       戦後初期の母親教育をめぐる動き ―母親学校研究会の活動
奥村 典子/聖徳大学教育学部児童学科教授)

第五章          戦後教育改革期における二つの女性教員組織
—―女性教員会にとっての「一本化論議」
齋藤 慶子/日本女子大学人間社会学部教育学科教授

第六章       一九五〇年代の高校被服教育と繊維工業、衣服製造業
宇津野 花陽/白鷗大学教育学部准教授

第Ⅲ部      教育改革の理念と現実を検証する ―高等普通教育、特別科学教育、教師教育

第七章          明治後期における高等学校改革構想 ——「高等普通教育」の制度化
吉岡 三重子/立教大学立教学院史資料センター助教

第八章      一九四〇年代の英才教育—―文部省の「特別科学教育」における試み
金 智恩/お茶の水女子大学グローバルリーダーシップ研究所特任講師

第九章      戦後初期の義務教育教員養成における「観察・参加・実習」の構想と課題
—―教育実習改革に焦点化して
山崎 奈々絵/聖徳大学大学院教職研究科教授

第Ⅳ部     教育・文化の格差と分断を乗り越える ―文明、沖縄、夜間中学校、方言と標準語

第一〇章  勝海舟と文明論 —―ギゾーの西洋文明史論和訳書「序」をめぐって
河田 敦子/東京家政学院大学現代生活学部教授

第一一章  占領初期沖縄群島における本土との教育格差
—―中三の「事実上の不就学」問題に着目して
萩原 真美/琉球大学博物館協力研究員)

第一二章  一九五〇年代の横浜市の青少年施策と夜間中学校
大多和 雅絵/川口短期大学こども学科専任講師

第一三章  一九五〇年代初頭の漁村にみる標準語教育の模索
——千葉県安房郡富崎小学校と大田堯らのかかわり
鳥居 和代/金沢大学人間社会研究域学校教育系教授

あとがき 鳥居 和代

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