監獄のなかの子どもたち
——児童福祉史としての特別幼年監、感化教育、そして「携帯乳児」
倉持史朗 著
現代の社会福祉あるいは司法は、非行や犯罪にかかわってしまった子どもたちに
どれほどに高い理念に基づいた、有効な実践を展開しているのか――
犯罪幼少年・非行少年への処遇は、処罰として行うのか、教育をもって対するのか――
というきわめて今日的な問題に、一世紀以上まえに特別幼年監、
感化教育によって取り組んだ先駆者たちの挑戦に学ぶための意欲作!
A5判・上製・264頁
定価:4,200 円+税(税込4,620円)
2016年12月刊行
ISBN978-4-86617-022-0
目次
序章
一.非行・問題行動を伴う児童への視点―「被害経験」と「加害性」
二.明治期における監獄のなかの児童問題
三.本書の研究目的と方法
四.先行研究の整理と本研究の意義
第一章 『大日本監獄協会雑誌』と監獄改良運動
はじめに
一.大日本監獄協会の設立
二.『大日本監獄協会雑誌』の発刊と『監獄雑誌』合併をめぐって
三.『大日本監獄協会雑誌』のなかの監獄改良
おわりに
第二章 『監獄雑誌』上における感化教育論
はじめに
一.警察監獄学会と『監獄雑誌』の発刊
二.感化教育(事業)及び未成年犯罪者に関する言及
三.留岡幸助・山本徳尚・小河滋次郎の感化教育(事業)への言及
四.まとめにかえて―監獄改良のなかの感化教育論
第三章 帝国議会における監獄費国庫支弁問題
はじめに
一.監獄費地方税支弁の経緯と国庫支弁の論理―太政官布告四八号と第二議会
二.監獄費国庫支弁法案審議の行方―第三議会から第一〇議会まで
三.監獄費国庫支弁法案の成立―第一二議会から第一四議会
おわりに
第四章 感化法制定と犯罪予防の論理
はじめに
一.犯罪児童をめぐる状況―感化教育以前、懲治監(場)
二.懲治場への批判
三.予防という概念―「病」への積極的対応
四.制度化の実現-感化法の制定と実施状況
五.まとめにかえて
第五章 小河滋次郎の感化教育論―感化法制定後の感化教育論を中心として
はじめに
一.監獄学者・監獄官僚としての小河滋次郎
二.二度目の欧米視察(一九〇〇.四.一三-一二.二二)
三.「未成年者ニ対スル刑事制度ノ改良ニ就テ」―明治期の感化教育論の到達点
おわりに
第六章 監獄に残る子どもたち―特別幼年監(懲治場)における「感化教育」
はじめに
一.懲治制度と特別幼年監の設置
二.特別幼年監(懲治場)の実践―洲本・中村・横浜
三.特別幼年監における感化(懲治場)教育の終焉―実績と反動
四.まとめにかえて
第七章 監獄に住まう乳幼児たち―近代日本における「携帯乳児」の実態
はじめに
一.携帯乳児をめぐる法令とその変遷
二.携帯乳児の実態
三.携帯乳児の問題点
四.まとめにかえて
終章
一.論点整理
二.本研究の成果
あとがき