相馬事件
明治の世をゆるがした精神病問題 その実相と影響
2022年7月 発売!
「日本医史学雑誌」第69巻第4号(日本医史学会)に、著者の岡田靖雄氏の「矢数医史学賞をいただいて」が掲載されました。
『相馬事件』が、第35回矢数医史学賞(日本医史学会)を受賞。
日本医史学会「日本医史学雑誌」第69巻第1号に書評が掲載されました。
日本精神衛生会「心と社会」54巻1号(2023年)に書評が掲載されました(PDF)。
「図書新聞」2023年1月21日号に書評が掲載されました。
「週刊読書人」2022年9月9日号に書評が掲載されました。
岡田靖雄 著
中村藩(現・福島県)最後の藩主・相馬誠胤の奇矯なふるまいをめぐり、
家令らが座敷監禁そして入院を処断したことに 旧藩士・錦織剛清が、家督相続を狙った不当監禁として告訴し、
以後患者本人の死後までも十二年にわたり争われた「相馬事件」。
告発のみならず入院先から旧藩主を連れ去り、本人死後は毒殺であると告発するなどの行動により
「忠臣」とも言われた錦織、近代的な精神医療のとば口で診断や患者の処遇に迷う医療者、
法整備を迫られ、事件後の一九〇〇年、精神病者監護法を制定する明治政府。
近代日本の精神科医療の画期となった相馬事件を 膨大な資料を基に再構築し、考察する。
A5判・上製・368ページ
定価 4,500円+税(税込4,950円)
ISBN 978-4-86617-189-0
目次
はじめに
第一章 平将門と相馬氏
一 平将門
相馬氏の祖/将門の出自/将門、新皇と名のるまで/将門敗死
将門伝説の発展/平良門と滝夜叉姫/『相馬平氏二代譚』
将門の首塚と神田明神
二 平将門から相馬誠胤まで
将門の「血」は?/千葉氏の流れ/相馬氏の成立とその後
奥州相馬氏/中村藩相馬氏/二宮尊徳の生涯/相馬充胤の事蹟
富田高慶/相馬誠胤のこと/相馬家の家政と小野組
志賀直道/家令としての志賀/足尾銅山/志賀仕法の評価
第二章 主君毒殺・財産横領の大陰謀
一 錦織剛清の活躍
旗たかく/替え玉見合い/主君監禁/財産横領/診断書
私立癲狂院入院/東京府癲狂院入院
二 錦織とぶ、そして後藤新平登場
後藤新平の出自/愛知県病院/錦織との接触/衛生局出仕
後藤新平と錦織剛清/警視庁布達/癲狂院から誠胤連れ出し
『相馬家紛擾之顚末』/家宅侵入事件/榊俶による診断
家宅侵入事件控訴審/錦織禅門にいり、そして/相馬子爵の死
『神も仏もなき闇の世の中』/誠胤公毒殺?/謀殺の告発
『万朝報』ほか/黒岩涙香/『自由新聞』
第三章 相馬誠胤の病いと時代
一 民権の時代
二 錦織剛清という人
錦織剛清の出自/相馬家への接近
三 誠胤の病い
遺伝歴/既往歴など/病初期のこと/日光での療養/病いの進行
監禁/錦織の来訪/鎖錮の手続き/瘋癲病院入院
四 東京府癲狂院への入院
東京府癲狂院/榊俶/中井常次郎/当時の治療
五 東京府癲狂院再入院、そして
誠胤の再入院/錦織、誠胤を奪取/誠胤奪取の裏面 恵沢正利談話
熱海での誠胤―恵沢談話続き/父充胤の死、榊鑑定
六 錦織の訴訟戦術、そして誠胤の死
訴訟につづく訴訟/まさに訴訟の山/誠胤の病状/誠胤の死
遺体の臨検
七 墳墓発掘、そして逆転
墳墓発掘および毒物有無の鑑定/免訴の予審決定
誣告事件予審終結と、山口判事・後藤新平の関与
山口、錦織の密会/誣告事件公判/大岡弁護士弁論/判決
周辺の訴訟/関係者のその後
八 相馬誠胤の精神疾患
相馬誠胤の病歴/病症についての考察二、三/錦織剛清の人柄
第四章 相馬事件の影響
一 当時の出版物ほか
「相馬事件」もの(その一)/「相馬事件」もの(その二)
相馬事件の錦絵など/当時の論説ほか
二 精神病者監護法への影響
精神病者監護法まで/精神病者監護法の制定/
三 相馬事件に関するその後の記述
学術的なもの/その他のもの
相馬事件年表/あとがき/索引
パンフレット
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